こんにちは、転すけ(てんすけ)です。
今回はQAの年収についてのお話です。
QAの中にも色々なポジションがありますが、
本記事ではデバッガー(テスター)というポジションでは年収が低い傾向にある理由にフォーカスしてお話をさせていただきます。
(逆にQAマネージャーやQAエンジニアの年収が高い傾向にある理由や、その差が生まれる要因というあたりについては別途の記事でお話させていただきます)
・QAの評価制度と年収の関係性
・QAの中でもデバッガー(テスター)が年収が低い理由
- 評価の基準を設けづらい(リリース後に不具合ゼロ=優秀なデバッガーとは言えない?)
QAの評価制度と年収の関係性
QAと一括りで言ってもポジションが色々あり、
QAチームの中にはおおよそどの企業であっても以下のようなポジション(役割)があります。
・デバッガー(テスター)
→テストを実行する人員
・シニアデバッガー
→テストを実行するベテラン人員(比較的難度の高いテストも行える人員)
・進行管理役
→上記デバッガー(テスター)をまとめて進捗を管理する役割
・QAエンジニア
→テストを効果的にできる仕組み作りやテスト自動化などをエンジニアリングによって実現する人員
・QAマネージャー
→QAチーム全体を統括する人員であり品質保証の責任者
上記について、年収の傾向を示すと以下のようになります。
<年収が低い>
・デバッガー(テスター)
・シニアデバッガー
・進行管理役
<年収が高い>
・QAエンジニア
・QAマネージャー
このような傾向になる理由として、
各ポジションについて「評価の基準を設けられるか否か」という点が関わってきます。
この点踏まえて以降で説明をしていきます。
QAの中でもデバッガー(テスター)が年収が低い理由
上記で、「デバッガー(テスター)」「シニアデバッガー」「進行管理役」というポジションで年収が低い傾向にあるというお話をさせていただきましたが、
その理由としては評価の基準を設けづらいという点が挙げられます。
このポジションにおける主な業務というのは、
「不具合を検知すること」という点になります。
では「不具合を多く見つける or リリース後に不具合ゼロの状態を作れれば評価に繋がるのでは?」
という考えもあると思いますが、
その点が評価に繋がることはほぼありません。
評価の基準を設けづらい(リリース後に不具合ゼロ=優秀なデバッガーとは言えない?)
ここで一つ例を挙げます。
以下の例のように三者三様の結果があったとして、誰が一番優秀と言えるでしょうか。
デバッガーAさんが機能①のテストを担当、
デバッガーBさんが機能②のテストを担当、
デバッガーCさんが機能③のテストを担当したとします。
デバッガーAさんは、
テストで数は少ないものの不具合を検知、リリース後に機能①は不具合はない状態でした。
デバッガーBさんは、
テストでたくさんの不具合を検知、しかしリリース後に機能②に数件の不具合が発覚しました。
デバッガーCさんは、
テストで検知した不具合はゼロ、しかしリリース後に機能③は不具合はない状態でした。
さて、
上記において誰が一番優秀と言えるでしょうか。
結論、優劣はつけられないという事になります。
検知数でいうと、
Bさん>Aさん>Cさん、となり、
リリース後の結果でいうと、
Aさん=Cさん>Bさん、となります。
ではなぜ、この点で優劣がつけられないかについてですが、
・担当した機能のボリュームや難易度によって、テスト中に出る不具合の数は大きく変わる
・上記に比例して、テスト中に検知しきれずリリース後に発覚する不具合の発生率も変わる
※ただし、機能的に小さく難度の低いものであっても不具合が多発する場合もある
という点があるため、単純に件数では評価ができないというポイントがあります。
では「ボリュームのある難度の高い機能を担当すれば評価は上がるのでは?」という点もあると思いますが、
やはりこの点も評価としては基準を設けづらい点となります。
理由としては、
難しい機能で、リリース後に不具合がなく一切の問題がなかったとしても、
それはエンジニアが優秀で不具合を防ぐ対策を打っていたためかもしれないため
という点があるためとなります。
この場合、
言い方は悪いですが、全く仕事ができないデバッガーの方がテストをしていても問題は起きていなかったということになるので、
やはり評価としては難しいということになります。
これらの理由により、デバッガー(テスター)、シニアデバッガーは評価を受けづらいという状況になっています。
また、進行管理役については、デバッガー、シニアデバッガーと比較するとプラスアルファ程度(ごく小さい範囲のプラスアルファ)の評価はあるものの、同様に、効果的な管理ができていたのかどうかを測る指標を作りづらいため、同じような評価を受けることが往々にしてあります。
つまり、
総じて「QA(デバッガー、テスター)起因で不具合を減らすことに成功していたのかを証明することは難しい」という点がネックになっています。
イチデバッガーの段階で実施できる評価をあげるためのアクションとしては、
初歩の初歩段階ではもちろん如何にバグを検知するかという部分で問題ありませんが、
少し経験を積んで慣れてきた段階以降は、
そもそも不具合を開発段階から発生させないように少しでも上流工程に介入するために動けているかという点になります。
こういったところに対してアクションを取れる姿勢を持っているか否かは先々のキャリアに繋がるので重要なポイントとなります。
ただし、この「評価」を「年収」に紐付けるためには、それ相応のポジションに就いて責任を持つ必要があります。
(良い動きができていたとしても責任を伴わないポジションというのはやはり年収には紐付きづらいのが実状です。)
そのポジションというのがQAマネージャーとなります。
QAマネージャーはデバッガー(テスター)とは相反して評価を受けやすいポジションなのですが、
そのあたりの理由等々につきましてはこちらの記事でご紹介させていただいています。