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著者:転すけ(元デバッグバイト / 現ITフリーランス) | プロフィール
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テストケース作成で悩むのが「異常系(イレギュラーケース)」です。
レギュラー観点は仕様書や画面から拾いやすい一方で、イレギュラー観点は“思いついた人が勝つ”みたいな雰囲気になりやすいんですよね。
イレギュラー系テスト観点のコツを一言で言うと、
「重要処理に絞って型(フレームワーク)に沿って洗い出す」という点で、
この方法が確実です。
この記事では、連打・通信断・容量不足を例にして、チェックリストを作り、テストケースに落とすところまでを一気につなげます。
ここで、テスト観点の全体像(考え方と基本の手順)も合わせて押さえたい場合は、次の記事が近道です。
テスト観点の洗い出し入門(考え方と3ステップ)
先に結論 イレギュラー観点は重要処理に絞って作る
この見出しでわかること:イレギュラー観点を「やる範囲」を決めて、最短で形にする進め方が分かります。
イレギュラー観点は、全部やろうとすると終わりません。
現場で評価されるのは「量」より「事故りやすい所を外さないこと」です。
まずは次の考え方で絞ります。
- 重要処理:課金、購入、登録、保存、引き継ぎ、ログイン、送信、確定、削除など
- 戻れない所:取り消しが効かない、状態が壊れる、データが欠ける
- ユーザー体験が破綻する所:固まる、落ちる、二重送信、同じ処理が複数回走る
「重要処理に絞る」と言うと、観点が少なく見えて不安になります。
実際は逆で、重要処理に集中できるぶん、レビューで突っ込まれにくい“質の高い観点”が揃います。
イレギュラー観点の洗い出しは、次の“型”でやると迷いません。
連打・通信断・容量不足も、この型に当てはめるだけでテストケースになります。
今日やることは3つ 分類して優先度を付けてテンプレに落とす
今日やることは3つです。
- 5分類で観点を出す(思いつきに頼らない)
- 優先度を付ける(全部やらない)
- テンプレに落としてテストケース化する(手戻りを減らす)
この順番にしておくと、レビューで言われがちな「で、これはどこまでやるの?」に先回りできます。
イレギュラー観点とは 仕様通りでも起きる事故を拾う切り口
この見出しでわかること:イレギュラー観点の定義と、レギュラー観点との線引きが分かります。
イレギュラー観点は、ざっくり言うと「仕様通りに操作しているつもりでも起きる事故」です。
ユーザーは想定通りに操作してくれません。通信も端末も理想通りに動きません。
その“現実”を前提にして、壊れ方を先に拾うのがイレギュラー観点です。
たとえば、仕様に「通信断中の挙動」が書かれていないことはよくあります。
そのときに「書いてないからやらない」だと、事故が起きた瞬間に責任がこちらへ戻ってきます。
イレギュラー観点は、こういう“仕様外っぽく見えるけど現実には起きる”所を押さえる役割です。
レギュラー観点との違いは要点だけ押さえる
レギュラー観点は「仕様どおりに動くか」を確かめる観点です。
イレギュラー観点は「現実の揺らぎでも破綻しないか」を確かめる観点です。
レギュラー観点の基本(表示・動作)を整理したい場合は、次の記事が参考になります。
レギュラー観点の出し方(基本の表示・動作)
ここでは深掘りせず、違いだけ押さえます。
イレギュラー観点は、レギュラー観点が固まってから追加すると精度が上がります。
イレギュラー観点を入れるべきタイミングが分かる
入れるタイミングは、目安として次の2つです。
- 重要処理のレギュラー観点が一通り揃った後(土台がある状態)
- 不具合の影響が大きい画面や機能が見えた時(優先度が付けやすい状態)
「全部の画面でイレギュラーをやる」のではなく、重要処理に集中する。
この前提があるだけで、作業量が現実的になります。
イレギュラー観点の出し方 迷わない5分類
この見出しでわかること:連打・通信断・容量不足を“型”で洗い出す方法が分かります。
イレギュラー観点は、次の5分類で出すと再現性が出ます。
人によるブレが減って、レビューも通りやすくなります。
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操作負荷 連打 同時押し 連続遷移で壊れないか
操作が荒くなるのは、珍しいユーザーだけの話ではありません。
スマホ操作に慣れている人ほど、体感が遅いと連打します。戻るや連続遷移も同じです。
観点としては、次の方向が基本になります。
- 連打・連続タップで二重送信や多重実行が起きないか
- 画面遷移が連続しても、状態が崩れないか(前の画面の処理が残らないか)
- 同時押しや連続操作で、入力や選択が壊れないか(想定外の組み合わせ)
「起きたら困る処理」に絞って連打を当てると、ムダが減ります。
通信 オフ 不安定 切り替え 遅延を想定する
通信は、仕様どおりに安定している前提が崩れやすい領域です。
特に、API(サーバーとの通信)を挟む処理は、遅延や断で破綻しやすいです。
APIは初出なので補足すると、アプリからサーバーにデータをやり取りする窓口のことです。
観点の基本はこうです。
- オフライン、機内モード、Wi-Fi↔モバイル切り替え
- 遅延(レスポンスが返るまで長い)
- 途中で切れる(送信中・受信中に断)
- タイムアウト(一定時間で失敗扱いになる)
通信断は「失敗すること」自体が悪いわけではありません。
失敗したときに、ユーザーが次に取れる行動(再試行、戻る、保存)が残っているかがポイントです。
端末リソース 容量不足 メモリ不足 バッテリーで崩れないか
端末リソースは、ユーザー側の状況で簡単に変わります。
特に容量不足は、OSの更新や写真・動画の増加で突然起きます。
観点としては次を押さえます。
- 容量不足で保存・ダウンロードが失敗した時の挙動
- メモリ不足で画面が重い、落ちる、復帰できない
- バッテリー低下で省電力モードに入った時の挙動
- ストレージやキャッシュの削除で, 状態が破綻しないか
「容量不足」は、エラーメッセージだけで終わらず、復旧の導線(不要データ削除や再試行)があるかまで見ます。
アプリ状態 バックグラウンド 強制終了 割り込みを潰す
アプリはずっと前面にいるとは限りません。
通知が来る、電話がかかる、別アプリへ切り替える。これが普通です。
観点の軸は次の通りです。
- バックグラウンドへ移動して戻ったとき、状態が維持されるか
- 強制終了後に再起動したとき、途中状態が壊れていないか
- 画面回転、通知、通話、権限ダイアログなどの割り込みが入っても破綻しないか
- 処理中にホームへ戻る、タスクキルする、といった現実的な操作
途中で落ちたとしても、再ログインや再試行で復帰できる設計かどうかが重要です。
時間とデータ 日跨ぎ 境界値 大量データで事故る所を拾う
時間とデータは、地味に事故が多いです。
「普段のデータ量」や「普段の日時」だけでテストすると見えません。
押さえる観点はこのあたりです。
- 日跨ぎ、月跨ぎ、年跨ぎ、タイムゾーン(海外利用があるなら特に)
- 境界値(最小、最大、桁数、文字数、0、空、全角半角など)
- 大量データ(履歴、一覧、検索結果、保存データが多い)
- 不正データ(途中で壊れた、欠けた、形式が違う)
大量データは、表示崩れだけでなくパフォーマンス(体感速度)の劣化にもつながります。
まず押さえる イレギュラー観点チェックリスト20選 コピペOK
この見出しでわかること:連打・通信断・容量不足を含む“よくある事故”をチェックリストとしてそのまま使えます。
ここでは、現場で使いやすい形にして20個に絞りました。
重要処理に当てはめて、まずはこのままコピペして使ってください。
課金や購入の周りで起きがちな事故
- 購入ボタン連打で二重購入にならない
- 決済画面から戻る・閉じるで状態が壊れない
- 決済中に通信断しても、購入状態が不整合にならない
- 決済がタイムアウトしたとき、再試行で二重処理にならない
保存と引き継ぎの周りで起きがちな事故
- 保存ボタン連打で多重保存やデータ破損が起きない
- 保存中にアプリをバックグラウンドへ移動しても破綻しない
- 保存中に強制終了しても、再起動で復帰できる
- 容量不足で保存できない時、分かるエラーと復旧手段がある
ログインと通信の周りで起きがちな事故
- ログイン送信の連打で二重ログイン処理にならない
- 通信断中にログインした場合、無限ローディングにならない
- Wi-Fi↔モバイル切り替え中に通信が発生しても破綻しない
- 遅延が長いとき、キャンセルや再試行ができる
操作ミスと二重送信を防ぐ観点
- 送信・確定・登録ボタン連打で二重送信にならない
- 連続遷移(戻る→進む→戻る)で状態が壊れない
- 画面を連続で開閉しても、同じリクエストが多重で走らない
- 入力途中に別画面へ移動して戻った時、入力が意図せず消えない
OS割り込みで落ちない観点
- 通知や通話の割り込み後に戻っても落ちない
- 権限ダイアログ表示中に操作しても破綻しない
- 省電力モードでも重要処理が途中で止まらない
- アプリ再起動後に、重要処理の途中状態が壊れていない
チェックリストは“全部やるリスト”ではなく、“事故を見落とさないための候補”です。
次の章で、経験を条件アップにつなげる話もします。現場での積み上げが、次の案件選びに効いてきます。
次の一歩 経験を条件アップにつなげる
この見出しでわかること:イレギュラー観点を武器にして、条件や単価の見直しにつなげる考え方が分かります。
イレギュラー観点を整理できる人は、現場で信頼されます。
理由はシンプルで、事故の芽を早い段階で潰せるからです。
この強みは「レビューが通る」だけで終わりません。
実務1年以上なら、案件や条件の選択肢を増やす動きと相性が良いです。未経験〜経験浅めなら、進め方を整理して迷いを減らすのが先です。
対象:デバッグ/QA 実務1年以上|まず条件・単価の相場を知りたい人
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観点をテストケースに落とすテンプレ コピペOK
この見出しでわかること:チェックリストをテストケースに変換する書き方が分かります。
チェックリストは便利ですが、そのままだとレビューでこう言われがちです。
「で、どうやって再現するの?」「期待結果は?」「どの条件でやるの?」
そこで、最初に“観点メモ”を作り、そこからテストケースに落とす流れにします。
この順番にすると、抜けが減って書き直しも少なくなります。
観点メモのテンプレがあれば迷わない
観点メモは、次の形でOKです。
重要なのは「何が起きたらNGか」を先に決めることです。
対象機能:例)購入確定、保存、ログイン、送信
想定する事故:例)二重処理、状態不整合、無限ローディング、データ破損
きっかけ:例)連打、通信断、遅延、容量不足、バックグラウンド
期待結果:例)1回だけ処理される/再試行できる/エラーが分かる/復帰できる
証跡:例)画面表示、トースト、ログ、購入履歴、DB反映の有無
この時点で「観点→期待結果」まで言語化できていると、テストケース化が一気に早くなります。
チェックリストの列設計はテンプレ記事で確認する
チェックリストの列(カラム)をどう作るかは、チームやプロダクトで差が出ます。
ここでは要点だけ押さえます。
最低限ほしい列:観点、手順、期待結果、優先度、備考(証跡)
余裕があれば:前提条件、環境(端末/OS/回線)、結果、チケットID、実施日
具体的なテンプレと作成手順は、次の記事で確認できます。
チェックリストのテンプレと作成手順
書き方の例 通信断と連打のテストケース例
ここでは、通信断と連打を例に、テストケースの形を見せます。
「重要処理」に当てはめると、効果的な粒度になります。
例1:通信断 テスト(送信系)
前提条件:ログイン済み/送信対象の入力が完了している
手順:
- 機内モードをONにする(通信断)
- 送信ボタンを押す
期待結果:
- エラーが分かる表示が出る(ユーザーが状況を理解できる)
- 無限ローディングにならない
- 再試行ができる、または入力内容が保持される
- 通信復帰後に、意図せず自動送信されない(勝手に確定しない)
証跡:送信履歴、画面表示、サーバー側の受信有無(確認できる範囲で)
例2:ボタン連打 テスト(二重送信)
前提条件:送信対象の入力が完了している
手順:
- 送信ボタンを素早く5回タップする
期待結果:
- 送信処理は1回だけ走る
- 送信中はボタンが無効化される、または多重実行が抑止される
- 完了後の画面遷移や表示が崩れない
証跡:送信履歴(件数)、画面表示、ログ(確認できる範囲で)
「連打」は全部の画面でやる必要はありません。
次の章で、優先度の付け方と線引きを整理します。
やりすぎを防ぐ 優先度の付け方
この見出しでわかること:イレギュラー観点を“やる順番”に変換する方法が分かります。
イレギュラー観点は、洗い出すだけだと増え続けます。
そこで、影響と起きやすさで優先度を決めます。
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影響と起きやすさで最優先が決まる
優先度は次の2軸で決めます。
- 影響が大きい:課金、個人情報、データ消失、復旧不能、信用毀損
- 起きやすい:連打、通信の揺らぎ、バックグラウンド、容量不足、遅延
たとえば「二重送信」は起きやすく、影響も大きいことが多いです。
この時点で最優先になります。
逆に、影響が小さく起きにくいものは、チェックリストに残しても“実施は後回し”で構いません。
レビューでも「優先度で整理している」ことが伝わると、納得が得やすいです。
全画面でやらない線引きの例
線引きの例を出します。
ポイントは「重要処理以外は、代表画面で押さえる」ことです。
- 連打:購入、保存、送信、確定など“状態が変わる処理”だけ
- 通信断:APIが絡む重要処理だけ(一覧表示などは代表画面で)
- 容量不足:保存、ダウンロード、キャッシュ生成など“書き込みが発生する処理”だけ
- OS割り込み:重要処理の途中、入力途中、決済途中など“戻ってきた時に壊れると困る所”だけ
この線引きがあると、テスト計画も現実的になります。
よくある漏れとレビューの観点
この見出しでわかること:イレギュラー観点で漏れやすいポイントと、レビューで見られる所が分かります。
イレギュラー観点は“頑張ったのに漏れる”が起きやすいです。
よくある漏れを先に潰しておきます。
過去バグを観点リストに戻すと強い
強い方法が1つあります。
それは、過去の不具合(バグ)を観点リストへ戻すことです。
- 「二重送信が起きた」→ 連打、遅延、通信断の観点に戻す
- 「復帰後に状態が壊れた」→ バックグラウンド、強制終了の観点に戻す
- 「容量不足で保存できず落ちた」→ 容量不足、メモリ不足の観点に戻す
過去バグは、チームにとって“二度と踏みたくない地雷”です。
ここを拾えているだけで、レビューの評価が上がります。
例外系のつもりで抜けるパターン
抜けやすいのは、次のパターンです。
- エラー表示は出るが、ユーザーが次に取れる行動がない(閉じるしかない)
- 通信断を見たが、「復帰後に再試行したら二重処理」まで見ていない
- 連打は見たが、「戻る」「画面切り替え」などの連続遷移を見ていない
- 容量不足は見たが、「一部だけ保存された」「中途半端な状態が残る」を見ていない
イレギュラー観点は、失敗を“許容する設計”かどうかを見る目線が大事です。
失敗しても復帰できる。ユーザーが次の一手を選べる。ここが押さえどころです。
次に読むと理解が深まる記事
今回の内容を土台に、次の記事も合わせて読むと理解が深まります。
よくある質問(FAQ)
この見出しでわかること:イレギュラー観点の“どこまでやるか”と、迷いどころの解消ができます。
イレギュラー観点はどこまでやればいいですか
重要処理に絞ったうえで、影響と起きやすさが高いものからやるのが基本です。
チェックリストの中に優先度の欄を設けて実施する順番(範囲)を明確にしておくと、「やる/やらない」の判断がしやすくなります。
仕様が曖昧で観点が出せないときはどうしますか
曖昧なままでも起きる事故を拾うのがイレギュラー観点の強みです。
まず「連打・通信・端末リソース・アプリ状態・時間とデータ」の5分類で当てはめ、最悪の破綻(データ破損、二重処理、復旧不能)を避ける観点から固めます。
観点作りに悩む場合、“ユーザーが次の取りそうな行動”を想定すると効果的な観点が作りやすいです。
ゲーム以外のWebサービスでも同じ考え方でいいですか
考え方は同じです。
ゲームでもWebでも、重要処理(購入、登録、保存、確定)と通信の揺らぎは共通して事故ります。
違いが出るのは、端末の種類や利用環境です。Webならブラウザ差分やキャッシュ、Cookie周りも観点に入ってきます。
新人でも漏れを減らすコツはありますか
型で出すことが一番効きます。
5分類を回してチェックリスト20選を当てはめ、過去バグを観点へ戻す。この順番でやると、経験が浅くても漏れが減ります。
レビュー前提なら、期待結果を「1回だけ処理される」「復帰できる」「次の行動が取れる」のいずれかに置くと、指摘が減りやすいです。
テストケースとチェックリストは同じですか
本来の意味は同じではありません。
チェックリストは「確認すべき項目の一覧」で、テストケースは「前提条件・手順・期待結果まで含めた実行単位」です。
しかし昨今ではテストケース=チェックリストという認識も増えてきており、
つまり両者とも「チェックを行うための項目の一覧」となりつつあります。
(現場によって認識は変わります)
まとめ
この見出しでわかること:今日の作業を、明日すぐ使える形にまとめ直せます。
イレギュラー観点は、思いつき勝負にしないのがコツです。
重要処理に絞り、5分類で観点を出し、影響と起きやすさで優先度を付ける。
ここまでできると、作業量が現実的になります。
連打・通信断・容量不足は、どの現場でも事故りやすい代表格です。
チェックリスト20選をそのまま使い、観点メモ→テストケースの順で落とし込むと、安全を担保できるテストに繋がります。
経験が積み上がってきたら、条件や単価の見直しも選択肢に入ってきます。
次の動きにつなげるなら、相談と比較を“無料の範囲”で進めるのが安全です。
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