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著者:転すけ(元デバッグバイト / 現ITフリーランス) | プロフィール
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「不具合報告を出したのに、追加質問が何往復も来る」「再現できないと言われて手戻りが増える」——デバッグの現場ではよくある悩みです。
原因はシンプルで、報告に必要な情報が揃っていないか、伝わる順番になっていないことがほとんどです。
この記事では、今日からそのまま使えるように
- 不具合報告で必須の項目
- 伝わる書き方のコツ
- コピペで使えるテンプレート
- 良い例と悪い例
- 再現しないときの書き方
- 提出前のチェックリスト
- よくある質問
までを、1記事にまとめました。
社内のバグ報告だけでなく、問い合わせ文を書くときにも「必要情報の型」は共通なので、不要部分だけ削って使えます。
まず結論:不具合報告で必須の項目

この見出しでわかること:不具合報告で最低限そろえるべき情報が、ひと目で分かります。
不具合報告の質は「文章力」より「項目の漏れがないか」で決まります。まずは次の8項目を、毎回そろえるのが最短です。
- タイトル
- 発生手順
- 実際の結果
- 期待する結果
- 発生頻度
- 実行環境
- バージョン
- 添付資料
タイトルは原因ではなく現象を書く
タイトルは、原因を決め打ちせず「起きた現象」を短く書きます。
- 良い:ガチャ結果画面で確定ボタンが反応しない
- 悪い:確定ボタンの実装が壊れている
原因は調査しないと分からないことが多いので、報告の段階では「何が起きたか」を主語にします。検索もしやすくなり、重複報告の統合にも役立ちます。
再現手順は短文で分割する
再現手順は、長文よりも「短文の番号付き」が強いです。
1つの手順に複数の操作を詰め込むと、読む側が同じ操作を再現できません。
- 1:ホームからガチャを開く
- 2:10連を実行する
- 3:結果画面で確定ボタンを押す
このように「1行1操作」を意識すると、追加質問が減ります。
実際の結果と期待する結果をセットで書く
「何が問題なのか」は、実際の結果だけだと伝わりにくいです。
必ず「期待する結果」をセットにします。
- 実際の結果:確定ボタンを押しても反応せず、画面が進まない
- 期待する結果:確定ボタン押下で結果が確定し、次の画面へ遷移する
この2つがあるだけで、仕様確認も調査も一気に速くなります。
発生頻度と条件の情報を添える
発生頻度は、優先度判断の材料になります。回数が曖昧でも構いません。
- 3回中3回、毎回起きる
- 10回中1回くらい、たまに起きる
- 初回起動だけ起きる、2回目以降は起きない
加えて「特定条件がありそう」なら、その仮説も“推測として”添えると調査が進みます(例:通信が不安定なときだけ起きる気がする、など)。
実行環境とバージョンを書き切る
実行環境は「端末名」だけだと不足します。最低限、以下を埋めます。
- 端末(例:iPhone 13)
- OS(例:iOS 17.x)
- 回線(例:Wi-Fi/4G)
- 画面設定や言語(影響しそうなら)
- アプリ・ゲームのバージョン(例:1.2.3)
「どれが必要か分からない」と迷うなら、最初は多めに書いてOKです。削るのは読む側ができますが、後から聞き直すのはコストが高いです。
スクリーンショットやログで一次情報を残す
文章より、一次情報が強いです。
- 画面キャプチャ(現象が分かる1枚)
- 動画(操作とタイミングが分かる)
- 端末ログ/エラーログ(取得できる範囲で)
添付する場合は「どの瞬間の画像か」を一言添えるだけで、読む側の迷子が減ります。
伝わる不具合報告の書き方のコツ
この見出しでわかること:必要項目をそろえたうえで、さらに“手戻りを減らす書き方”が分かります。
事実と推測を分けて書く
報告が荒れる最大の原因は、事実と推測が混ざることです。
次のように、行を分けるだけで伝わります。
- 事実:確定ボタンを押しても反応しない
- 事実:他のボタンは反応する
- 推測:確定ボタンの当たり判定がズレている可能性がある
推測は歓迎ですが、必ず「推測」と分かる書き方にします。
一つの報告に対して一つの不具合にする
「ついでにここもおかしい」を1チケットにまとめると、担当が増えた瞬間に破綻します。
原則は1報告1現象。関連があるなら「関連チケット」として紐付けます。
重要度と影響範囲を言語化する
現場では、直す順番が命です。重要度は、次のように“ユーザー影響”で書くのが伝わりやすいです。
- 進行不能:メイン導線が止まり、継続ができない
- 期待値の毀損:報酬が受け取れず不公平感が出る
- 軽微:見た目の崩れだが操作はできる
「誰が困るか」「どの範囲に広がるか」まで書けると、優先度の合意が速くなります。
再現しないときの書き方で差がつく
再現しない報告は、書き方が雑だと“再現なしで終了”になりがちです。
後半で詳しく扱いますが、先にコツだけ言うと次の3点です。
- いつ起きたか(時刻、回線、端末温度など)を残す
- 起きた直前までの流れを時系列で書く
- 「起きた証拠」を添付する(動画、ログ、サーバー側の履歴など)
原因切り分けの考え方もあわせて知りたい人は、こちらが役立ちます。
原因切り分けのコツはこちら
デバッグの基本の進め方も整理しておくと、報告の質が安定します。
デバッグの進め方の基本はこちら
不具合報告書テンプレート(コピペOK)
この見出しでわかること:コピペで使えるテンプレと、埋め方の型が分かります。
まずは、テンプレを「毎回この順番で埋める」だけでOKです。文章が苦手でも、項目がそろえば十分に伝わります。
テンプレート本文(テキスト)
そのまま貼って使える形にしています。不要な行は削ってください。
【テンプレ】
タイトル:
発生日時:
実行環境:端末/OS/回線
バージョン:
発生手順:
1:
2:
3:
実際の結果:
期待する結果:
発生頻度:
影響範囲:
補足:
添付資料:スクリーンショット/動画/ログ(あれば)
ポイントは「発生手順→結果→期待」の流れを崩さないことです。読む側が同じ順番で検証できます。
表形式テンプレート(スプレッドシート向け)
スプレッドシートや表で管理している場合は、列を固定すると漏れが減ります。
- タイトル
- 環境
- バージョン
- 手順
- 実際の結果
- 期待する結果
- 頻度
- 影響範囲
- 添付
表にすると「手順」と「結果」が短くなりがちなので、手順だけは別セルで番号付きにするのがおすすめです。
タイトルの型テンプレート
タイトルは迷いがちなので、型を作っておくと速いです。
- 画面名で起きる現象
例:結果画面で確定ボタンが反応しない - 条件と現象
例:回線が4Gのとき、ログイン後に画面が真っ白になる - 操作と現象
例:アイテムを使用すると所持数が減らない

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例文でわかる良い報告と悪い報告
この見出しでわかること:同じ事象でも“伝わる報告”と“手戻りが増える報告”の違いが分かります。
悪い例は何が問題か
悪い例(よくある形)です。
ガチャの確定ボタンが効きません。
早く直してください。たぶんボタンが壊れてます。
この報告だと、読む側は次のことが分かりません。
- どの画面で、どの操作をしたら起きるのか
- いつから起きるのか、毎回起きるのか
- どの端末・どのバージョンなのか
- 期待する動きは何なのか
- 証拠(画像、動画、ログ)があるのか
結果として「環境は?」「手順は?」「頻度は?」と追加質問が増え、修正が遅れます。
良い例はどこが良いか
同じ内容でも、こう書けると一発で伝わります。
タイトル:結果画面で確定ボタンが反応しない
発生日時:2025/12/xx 21:10頃
実行環境:iPhone 13/iOS 17.x/Wi-Fi
バージョン:1.2.3
発生手順:
1:ホームからガチャを開く
2:10連を実行する
3:結果画面で確定ボタンを押す
実際の結果:確定ボタンを押しても反応せず、画面が進まない
期待する結果:確定ボタン押下で結果が確定し、次の画面へ遷移する
発生頻度:3回中3回
影響範囲:進行不能(結果確定できず、ゲーム継続不可)
添付資料:動画あり(確定ボタン押下が分かる)
良い例のポイントは、読む側が同じ順番で再現できることです。
また、影響範囲が書かれているので、優先度判断が速くなります。
提出前チェックリストで漏れを潰す
「テンプレは埋めたつもり」でも、抜けが出るのは普通です。提出前に次だけ確認すると、追加質問が減ります。
- 端末/OS/バージョンが書けている
- 手順が「1行1操作」になっている
- 実際の結果と期待する結果がセットになっている
- 頻度が入っている
- 画像や動画が“現象の瞬間”になっている
再現しない不具合の書き方
この見出しでわかること:再現しない不具合でも“調査が進む報告”にする方法が分かります。
再現しない不具合は、報告が難しいぶん「情報の残し方」で勝負が決まります。
ポイントは「条件の当たりを付ける」「仕様の可能性も逃がす」「回避策があれば共有する」です。
条件の当たりを付ける書き方
再現しない場合、完璧な手順は書けなくてOKです。代わりに、次のように“起きたときの状況”をできるだけ残します。
- いつ:日時、時間帯
- どこ:画面名、シーン
- 直前:直前までの操作の流れ
- 状態:回線、端末の発熱、バックグラウンド状況、ストレージ残量
- 兆候:動作が重い、読み込みが長い、音が途切れた など
書き方の例はこんな感じです。
【書き方例】
発生日時:21:10頃
状況:Wi-Fiから4Gに切り替わった直後に発生
直前の操作:バトル終了→リザルト→報酬受け取り→ホームへ戻る
現象:ホームが真っ白になり、操作できない
証拠:動画あり(回線切り替え後に真っ白になる様子)
ここまで書けると、調査担当は「通信」「画面遷移」「キャッシュ」などの当たりを付けやすくなります。
仕様の可能性があるときの書き方
仕様か不具合か分からないときは、断定せずに“確認したい点”として書きます。
- 期待する結果:〇〇になる想定
- 確認したい点:仕様として〇〇が正しいか
この形にすると、仕様確認の回答が返ってきやすく、無駄な議論が減ります。
一時回避策がある場合の書き方
回避策がある場合は、ユーザー影響を下げられるので重要です。
- 回避策:アプリ再起動で復帰する
- 回避策:別回線に切り替えると発生しない
「回避策がある=優先度が下がる」とは限りませんが、判断材料として価値が高いです。
報告を出す前に確認するチェックリスト
この見出しでわかること:提出前に見落としがちなポイントを、短時間で点検できます。
再現手順を短く切って再チェックする
自分で読み返して「同じ操作ができるか」を確認します。
手順に「など」「いろいろ」「適当に」が入っていたら、ほぼ追加質問が来ます。
環境とバージョンを書き切る
端末、OS、回線、バージョンが入っているか確認します。
迷ったら「多めに書く」でOKです。
添付資料の抜けを潰す
添付がある場合は、次を確認します。
- 現象が写っている(前後だけ、真っ黒だけになっていない)
- 操作が分かる(指の動き、タップ位置が分かる)
- どの瞬間の添付か説明がある(例:確定ボタン押下の瞬間)
仕様の可能性があるときの書き方を添える
仕様疑いのときは「断定しない」一文があるだけで、チーム内の摩擦が減ります。
「不具合だと思う」ではなく「仕様として正しいか確認したい」を使います。
初心者がやりがちな抜けを、さらに網羅的にチェックしたい人は、こちらも役立ちます。
初心者がやりがちな抜けを減らすチェックリスト
不具合報告の質を上げると評価が上がる理由
この見出しでわかること:不具合報告が上手くなると、仕事の評価や次のチャンスにどう繋がるかが分かります。
役割の説明で迷う人は、まず「デバッグとテストの違い」を整理すると話が通りやすくなります。
デバッグとテストの違いを整理したい人はこちら
報告の質は修正コストを下げて信頼になる
不具合報告が分かりやすい人は、チーム全体の時間を増やします。
- 追加質問が減る=調査の着手が早い
- 再現が速い=修正までのリードタイムが短い
- 情報が揃う=優先度判断がしやすい
結果として「この人に任せると速い」という信頼が積み上がります。
評価は、派手な成果だけでなく“手戻りの少なさ”でも上がります。
面談で使えるアピール例
経験者の人は、面談で次のように言語化できると強いです。
- 不具合報告では、手順・環境・頻度・期待結果をテンプレで統一していた
- 再現しない事象は、発生時の状況や証拠を残して調査が進む形にしていた
- 影響範囲を言語化して、優先度調整に使える情報を出していた
よくある質問(FAQ)
この見出しでわかること:現場で詰まりやすい疑問を、短く解決できます。
再現しない場合はどう書く
完璧な再現手順が書けなくても大丈夫です。
代わりに「起きたときの状況」と「証拠(動画・ログ)」を残し、条件の当たりを付けられるようにします。本文の「再現しない不具合の書き方」のチェック項目を、そのまま使ってください。
仕様か不具合か分からない場合はどうする
断定しないで、「仕様として正しいか確認したい」と書きます。
期待する結果と、確認したい点を分けると、議論が荒れにくくなります。
スクリーンショットが撮れない場合はどうする
撮れない事情がある場合は、その理由と代替を添えます。
- 代替:文章で画面の文言をそのまま書く
- 代替:動画が難しければ、現象前後の複数枚を添付する
- 代替:ログが取れるならログを添付する
「一次情報が何もない」状態だけは避けるのがコツです。
端末情報が分からない場合はどうする
分かる範囲でOKです。端末名が曖昧なら「メーカーと機種」「OSのメジャー番号」だけでも書きます。
あとで追記できるように「端末情報は確認中」と一言添えるのも有効です。
動画やログを共有できない場合はどうする
社外共有が禁止などの制約があるなら、報告に明記します。
- 共有制約:社外共有禁止のため添付なし
- 代替:現象の瞬間の画面文言、発生時刻、操作ログ(書ける範囲)を記載
制約があるだけで“情報不足”扱いされないよう、先に書いておくのがポイントです。
まとめ:テンプレで最短で伝わる不具合報告を書く
不具合報告は、才能ではなく型です。今日からは次の流れで十分です。
- まず必須の8項目をそろえる
- 手順は短文で分割する
- 実際の結果と期待する結果をセットにする
- 再現しないなら状況と証拠を残す
- 提出前にチェックリストで漏れを潰す
報告の質が上がると、現場の信頼が増え、任される範囲も広がります。
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