仕事術

効果的な振り返りと無意味な振り返り(発散だけでは意味がない)

講義をする白い人形の画像

こんにちは、転すけ(てんすけ)です。

「振り返り(KPT)」という作業ですが、
「チームで」或いは「個人で」 定期的に行っていますでしょうか。
また、”効果的” に行えていますでしょうか。

振り返りは、課題を抽出したり次に何をすべきかなどを把握したりする大事な作業です。

しかし、効果的に進められていない事やそもそも目的を持って振り返りを行えていない事も往々にしてあると思います。

今回はそんな振り返りについて、「効果的な振り返りと無意味な振り返り」というテーマでお話をさせていただきます。

  • 効果的な振り返りと無意味な振り返り(振り返りの基本概念)
  • 発散フェーズ
  • 収束フェーズ
  • チーム向けの振り返りと個人向けの振り返り

効果的な振り返りと無意味な振り返り(振り返りの基本概念)

立って会議している画像

職場などで数ヶ月おきや半年に1度などの周期で振り返りを行うことがあると思います。

ですが、「この会議は何のためにやっているのだろう」というように感じることはないでしょうか。

私自身も、「目的意識の低い会議体になっていることが多いな」というのを感じることがこれまでよくありました。

そんな振り返りによくある悪い例として、以下のようなことが挙げられると思います。

  • 発言者が限られている(或いは一方的に進行する)
  • 「KPT」という概念がない
  • 「発散フェーズ」「収束フェーズ」という概念がない

まず大前提ですが、
発言者が限られる振り返りは意味がありません。

各々が意見を出し合うことに意味があり、そこから気付きを得る事が重要になります。

この場合、振り返りというよりは最早「ただの共有」といったほうが正しいと思うのでその点は注意が必要です。

また、振り返りの概念としてKPTというものがあります。

KPTとは

Keep(良かったことや今後も継続すべきこと)

Problem(課題に思うことなどの問題点)

Try(Keepのブラッシュアップ方法やProblemの改善方法など、今後行うべきこと)

上記の頭文字をとったものがKPTです。

この形式に沿って振り返りを行うと、
「良かったこと」「悪かったこと」をまず列挙し、
その後に「今後すべきこと」というのを打ち出していく、
というように順を追って考えていくことになるので、
振り返りとして意義のあるものになりやすく、
その後に取るべき行動の把握に繋がりやすいと思います。

また、もう一つの概念として、
全ての振り返りをKPT形式に当てはめる必要はありませんが、
どんな振り返りやその他会議であっても「発散フェーズ」「収束フェーズ」という考え方は必要になります。

目的意識の低い振り返りで往々にしてありがちな事として、
「あんなことやこんなことがあったよね」という話をしてそれだけで終わるケースです。

この場合、そういう話をすることで気持ち的な「発散」はできるので、
「思い返すといろいろな事があったんだなあ。みんなと気持ちの共有もできたし、また頑張っていこう」
というように、一時的に精神面を前向きにする効果はあるものの、
「で、今後何をすべきなのだろう」
という「収束」の点が何も話せていないので、
実質何も進展していないということになってしまう訳です。
(課題等に対して取り組む内容が決まっていないので、恐らく次の振り返りでも同じ課題が上がる可能性が高く、課題のループになる)

これを言い換えると、
「発散フェーズ」のみを実行し、「収束フェーズ」は未実行ということになります。

発散フェーズ

KPTで付箋に書いている画像

この発散フェーズでは、
KPT形式でいう所の、Keep(良かったことや今後も継続すべきこと)とProblem(課題に思うことなどの問題点)をとにかくまず列挙しようというフェーズになります。

前提として、振り返りは全員に発言してもらう事が重要です。
また、話を進めていく上で以下の点への留意が必要です。

・参加者全員をリスペクトする気持ちを持つ

・個人を否定する内容はNG(誹謗/中傷はもちろんのこと、責任の所在などが個人に向くのはNG)

・他責にするのはNG(誰の責/どのチームの責、とするのではなく、どうすれば良くなるのかという観点だけで考える)

このフェーズはとにかく数(意見の数)を打ち出すことが重要になりますので、
ややラフで参加しやすいような空気感を作って、全員が雑多に話をできる状況にすることが望ましいと思います。
(過去の出来事を思い出しながら進めるようなこともあり、各々の些細な気付きなども大事になるため、できるだけ話しやすい場の設計作りが大事)

まず、どんな意見であっても、「意見をアウトプットした事」自体に対して賞賛を送る姿勢を常に持つ事が大事です。

次に、個人の意見や人格などを否定するような発言や口撃も控える必要があります

(もちろん発言に対して反論が生まれる事もあると思いますが、議論自体は健全な事なので、それが口撃にはならないように注意して議論する必要があるという事ですね)

そして、個人/チーム問わず、何かの問題について責任の所在を明らかにする犯人探しのような進行も避ける必要があります。

そもそも「責任の所在」を明らかにする事に意味は全くなく、
「原因」と「打ち手」が分かれば済む事なので、
振り返りという場は「良くしていくための場である」という意識で臨む事が重要です。
(他責にしている=自分には関係のない他人事と捉えている=自分に関わる部分だけ良ければ良いという裏返しとも取れますね)

出た意見は各々が付箋などに記載(出来事を1つ1つ細かく分けて記載)して、ホワイトボードなどに貼り付ける方法がスタンダードな視認しやすい方法です。
(人数が多ければ多いほど同じ意見が重なる事も多くなりますが、重複するということはそれだけみんなが同じに感じているという事なので、同じ内容であっても各々に発言してもらってしっかり耳を傾けるという事も重要です)

先に数を打ち出す事が重要とお伝えしましたが、
理由としてはこの発散フェーズの意見をもとに収束フェーズを行なっていくため、
発散フェーズの母数が少なければ収束フェーズも縮小してしまうためです。
(ピラミッドのようなイメージで、発散フェーズという裾部分が大きければ大きいピラミッドになり、そうでなければ小さいピラミッドにしかならない)

まずはKeep(良かったこと)とProblem(悪かったこと)については、
直接的な業務面/気持ち的な部分/勤怠状況(負荷状況)/でもなんでもジャンル問わずどんなに些細な事でもあっても場に出すことを意識しましょう。

(もしこの段階で改善点についても意見が出ているものがあれば、Tryとして場に出しておき、収束フェーズでより詳細に話をします)

収束フェーズ

みんなで会議している画像

発散フェーズが済んだら次はそれらをどうしていくべきかを考える収束フェーズに入ります。

KPT形式でいう所の、Try(Keepのブラッシュアップ方法やProblemの改善方法など、今後行うべきこと)の意見を出し、且つ、具体性の高い内容にまとめるフェーズになります。

(場合によっては発散フェーズでTryまで出して、このフェーズではより具体性を高めるという方法でも問題ありません)

この収束フェーズは具体性が何よりも重要です。

特にProblemで上がった課題が重要度の高いものであれば、
そこに対して具体的なTryを打ち出して早急に課題を解消していく必要がありますが、そこに具体性がない場合、やはり課題は課題のまま残りループする事になります。

つまり、熟考する必要があり時間がかかりやすいフェーズになりますので、
例えば、一度意見を持ち帰って考えた上で後日収束フェーズに臨むというのも良いかと思います。
(具体性がないまま無理矢理進行しても意味のあるものにはなりません)

具体性についてですが、
やることをある程度絞り、効果的に実行できるようにする必要がある点にも考慮が必要です。

一例として、ある1つのProblremがあったとして、以下のようにTryを策定できたとします。

こちらは悪い例となります。

Problem_Aに対する打ち手

・~をする

・~をする

・~をする

・~をする

・~をする

・~をする

→それにより××という効果が生まれ課題が解消する見込み

一見すると打ち手を細分化して効果も分かるので問題ないように思いますが、
このような状態で走り始めようとすると、

・まずタスクが多い

・総合的に効果があるのは分かるが、1つ1つのタスクの効果がどの程度の大きさなのか分からない

・工数感が分からない

・期限が分からない(工数が分からないため)

という問題が出て、

ある程度具体性のあるTryは出したものの実現できるのかどうかが微妙という事になってしまいます。

そこで、注意点を踏まえ以下のようにもう少し具体性を足してみます。

Problem_Aに対する打ち手

・~をする:工数10日 / 優先度1 / 効果◎

・~をする:工数5日 / 優先度2 / 効果◎

・~をする:工数2日 / 優先度3 / 効果○

・~をする:工数20日 / 優先度4 / 効果△

・~をする:工数25日 / 優先度5/ 効果△

・~をする:工数30日 / 優先度6/ 効果△

→まず優先度1,2が効果が高いので20日程度で実施(これによりほぼ目的は達せる見込み)

→優先度3は余裕ができたタイミングで2ヶ月以内に実施

→優先度4以降は工数が大きい上に効果も少ないので一旦やらない

効果の分解や工数感を打ち出して優先度をつけられると、
やる必要があるものとそうでないものが明確になります。

結果期限も設定しやすくなるので進行しやすくなると思います。

Tryはtodoを出した上で完遂までのプランニングまでの具体性も持たせて「あとは作業するのみ」という状態にする事が重要です。

また、上記は1つのProblemに対して例として挙げさせていただきましたが、
Keepに対してのTryの案出しやその他Problemに対してのTryの案出しについても同様で、あれやこれやと手を出すのにも限界はありますので、

振り返り全体を通してのTryを打ち出した後、今回やるもの / 次回以降に積み残すもの / やらないもの、というのも明確にする事が重要です。

(積み残したものは特に風化しないようにする必要があります)

チーム向けの振り返りと個人向けの振り返り

水辺で考えにふける人の画像

上記までは「チームでの振り返り」についてお話しさせていただきましたが、
「個人での振り返り」というのも重要です。

今ままでやってきた事が個人の成長への繋がっているかを定期的に確かめるためのものです。

自分のやっている事がチームの為になっていても、自分の為になっていないのでは自己犠牲というような考え方になってしまうので、改めて立ち止まってみる時間は必要だと思います。

その辺りについてはこちらの記事でも記載していますので参考にしていただけると幸いです。

futureという看板の画像
【キャリアアップ】仕事への向き合い方と自分への向き合い方今の仕事はキャリアアップに繋がっているでしょうか。日々稼ぐために勤しんでいるとそんな事をふと忘れてしまいがちですが、一度立ち止まって自分のスキルや市場価値を高める事ができているか考えてみませんか。...

個人で仕事をしている場合にはあまり感じづらいかもしれませんが、
組織に属している場合にはどうしても組織のために自己犠牲を厭わないという考え方が生まれてしまう事もあるので、
自分が組織のためだけにいるわけではないという点は意識しつつ、将来を見据えられると豊かな未来になるのかなと思います。

いかがでしたでしょうか。

今回は振り返りについてお話しをさせていただきました。

大事な工程なので、意味のある、そして効果のある振り返りで課題を抽出しながら前進していきたいですね。

尚、自身の市場価値を確かめる為や今後高めていくためにエージェントを利用するという方法もあります。
こちらの記事では筆者の実体験を元にした内容を記載していますので参考にしていただけますと幸いです。

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